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冪等性マネジメントを高めるための思考と試行

本記事はコネヒト Advent Calendar 2019の23日目のエントリーになります。

今日はマネジメントの話がしたくなったのでマネジメントの話をします。マネジメントは「ナマモノ」なので、その人のパーソナリティはもちろん、関係性や状況によって、有効な手段が変わるので銀の弾丸はないのですが、ナマモノだからこそ、現場のノウハウを公開していく必要があると考えています。

また、マネジメントのテクニックを公開すること=手の内をメンバーに見せることになるので、公開することを敬遠するマネージャーもいますが、僕は正直でいることが最大の戦略だと思っているので、自分の考えの整理も兼ねて書いてみたいと思います。

というわけで誰かの一助になれば幸いです。

冪等性マネジメントとは?

僕がマネージャーとして意識していることの一つに「冪等性マネジメント」(Idempotent Management)というのがあります。冪等性マネジメントとは、 どんな時でも誰とでもいつも同じようなコミュニケーションのインターフェイスでメンバーと接することです。冪等性と表現するとロボットっぽいコミュニケーションを想像するかもしれませんが、ここで言う冪等性はテンションや態度のことを指します。

なぜ冪等性が大事なのか?

例えば、ある時は優しかったのに、またある時は冷たいといったような日によって態度にムラがあるマネージャーがいたとしましょう。そういうマネージャーの場合、メンバーからするとマネージャーの様子を伺って「今日は機嫌悪そうだから話しかけるの止めておこうかな〜」という力学が働いてしまいます。そして、このような状況が常態化すると、マネージャーとメンバーの関係性が希薄になります。

個人的にマネージャーとしてメンバーとのコミュニケーションの総量を増やすことは、メンバーの成果を最大化させる上で非常に重要だと考えています。もちろん、アカデミックな理論に裏打ちされたハウツーやコーチングのスキルもマネージャーには必要不可欠だと思いますが、それらの習得には一定時間がかかります。しかし、コミュニケーションをとることは誰でも今日からはじめられます。また、それらのスキルが有効になるのも一定以上の関係性を築いたうえでの話ですので、そのためにも日々のコミュニケーションは欠かせません。

にも関わらず、ムラのある態度を取ると、その日々のコミュニケーションの総量が減るリスクがあります。毎回返ってくる値が違うようなメソッドを誰も使いたくないのと同様に毎回態度が違うマネージャーとは誰も仕事をしたくはありませんよね。少なくとも僕は嫌です。

冪等性を保つ難しさとその方法

とは言うものの人間はシステムではないので、冪等性を保つのはなかなか大変です。僕はよく人から「いつも穏やかねですね〜」と言われるくらいには、良くも悪くも気分の浮き沈みが少なく、あんまりイライラしないタイプではあります。ですので、パーソナリティ的に冪等性を保ちやすいタイプだとは思うのですが、それでもこれまで人とのコミュニケーションで失敗してきたことは当然ありますし、聖人ではないので今でも日々の暮らしの中でテンションの移り変わりがあります。

もちろん、そういう人間味を開示していくこともマネージャーには必要な要素だとは思っていますが、冪等性マネジメントという観点ではなるべく自分の感情と上手く付き合っていく必要があります。というわけで、冪等性を保ったり高めたりするために僕が普段意識していることを紹介してみたいと思います。

長々と講釈を垂れましたが、要は穏やかに過ごすための心構えみたいなものとして読んでいただければと幸いです。

一時の感情で判断しない

アンガーマネジメントに近いかもしれませんが、人間である以上どうしてもイライラしたりプライベートの事情などで落ち込んだりすることは避けられません。そういった状況で、例えば批判のようなものを受けるとカッとなります。こういう状況ではまず正常な言動が出来ないと思っているので、一時的な感情で判断しないことが大切です。経験則ですが、次の日になればほとんどの出来事は取るに足りないことです。逆に次の日もその感情が残っていれば、何らかのアクションを取ればよいと思います。恐らく多少は冷静になっているので、昨日よりも筋のよいアクションをとれるはずです。もちろん、エンジニアの三大美徳である「短気」の逆の考え方なので、マッチしないケースもあるかもしれませんが、少なくともマネジメントでは一時の感情で判断しないことが大切かなと考えています。

0か1ではなくグラデーションで考える

これは主に対人関係の話ですが、仮にちょっと合わないなというか自分をイライラさせる人がいた場合に、一時の感情で判断しなかったけどやっぱり「イライラする!」となった時でもそのイライラさせる要因はその人の一面に過ぎないことを意識することが大切だと思います。たまにゼロサムで一つの出来事だけで「この人は嫌い!」というレッテルを貼る人もいますが、個人的にはもったいなと思っています。基本的に僕は他人のことなんて分からないという前提でコミュニケーションをとっていて、この人のこの部分は好き、あの部分はちょっと考えが違う、でも見えていない部分がたくさんあると思っているので、その人を嫌いと判断するのは難しいなぁと思ってしまうし、そういう考えのほうが個人的にはその人と仲良くなる可能性が残っているし、わくわく感があって楽しいなと考えています。

性善説で相手を信じる

先程、人を嫌いと判断するのは難しいと書きましたがこれは性善説ありきの考え方なので、性善説で相手を信じることが冪等性マネジメントでは重要なことなのかなと思っています。性善説で物事を考えると仮にイライラさせるような人がいても、別に悪気があるわけではないという考えになるので「ヒト」ではなく本質的な「コト」に向かいやすくなると考えています。また、相手のことを信じると向こうも信じてくれる可能性が高まると感じていて、そうするとコミュニケーションコストが下がるので、冪等性マネジメントもやりやすくなる気がしています。

ちなみに全く別の話ですが、世の中には本当にEvilな人もいる(幸い僕の周りにはいませんが)ので、そういう人からは逃げるようにしましょう。

問題を自分側に置く

ここまでイライラを相手に問題があるかのように書いてきましたが、そもそもイライラしているのは自分なので問題を自分にある前提で考えるのも有効な手段と思います。いわゆる、自分ごと化というやつですが、個人的には自分ごと化したほうが楽なことが多いと思っていて、それは自分に問題があるのであれば、それはコントロール可能な問題なので、何らかの対処が出来るからです。ややもすれば傲慢な考えかもしれませんが、世の中の全ての出来事に全ての人が関与していると僕は考えていて、そんな感じで何でも自分ごと化して、問題がコントローラブルになると、ある程度感情もコントローラブルになると思います。(もちろん、解決出来るどうかは別ですが…!)

たくさん寝る

凄く当たり前のことですが、めちゃくちゃ大事なことなので書いておきます。今まで書いた方法は十分な睡眠時間を確保した上で実践出来るものだと思いますし、睡眠不足の時は本当に気分にムラが出やすいので、きちんと睡眠時間を確保をすることはどんなに強調してもしすぎることはないと思います。と言いつつ、僕はよく夜ふかしをしてしまうので自戒を込めて…。

最後に

それっぽく書きましたが、冪等性マネジメントという言葉自体は(たぶん)造語で2秒で考えました。あと、文章にすると自分が高尚な人間っぽい感じがしてしまうかもしれませんが、全然そんなことはなく日々試行錯誤の連続なので、コネヒト社では是非そんな僕を支えてくれるメンバーを募集中でございます!

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